たまぎわ派生(ゾロサン)


「やめろって‥!」
「ここだろ」
 下半身丸出しにしてなにやってんだって正直おれも思ってる。でもそんな理性はとっくに駅の向こうくらいまですっ飛んでっちまって、帰って来るのはこの酔いが醒める頃なんだろうな。おれのっていうか、おれとゾロの。
 サッカー見てて、球際って言葉で下ネタに持ってくなんてどこの小学年生だ。酔いが回ればそんなことも関係ないのか。男なんていくつになってもガキなんだから、ナミさんがそんなこと言ってたなァなんて思い出しながら、いや、こんな格好でナミさんを思い浮かべるのはとてつもなく失礼なのに、おれってやつァ。そんなことをぐだぐだ考えてるうちに、ゾロの手がおれのちんこを握った。
「おおおおあああ、なにやってんだ!」
「邪魔だ」
「邪魔だじゃねェよ」
 おれの大切なちんこを握って、逆の手でさわさわと玉に触れる。こいつのゴツくて硬い手に反応を見せることはないが、なんだかくすぐったくて気色が悪い。あぁ、こんな格好ってのは、下半身丸出しの立ち膝でゾロの肩に頭置いてる、男同士でなにやってんだっていう格好だ。見せ付けてるわけじゃなく、密着してるのと酒の勢いもあってかそんなに恥ずかしくはない。おれが露出狂だとか変な趣味があるって理由じゃねェぞ。ただこう、サッカーの解説で球際ナントカからたまぎわが玉際に言葉遊びしたっていう、な、ほんと小学生だぜゾロは。おれもだけど。
 で、だ。たまぎわってどの辺だって話になった経緯がある。
「ほわ、」
「あ?」
「バッカ、てめェ、優しく触んじゃねェよ!」
「注文多いなてめェは」
 どうして欲しいんだと呆れた声で言って、強弱つけて人様のちんこを揉むゾロ。さっきも言ったが男の手なんかじゃ反応しない。しない、はずなんだ、けどな。最後にレディと肌を重ね合わせたのはいつだったかなんて、ちょっと遠い過去をさかのぼってすぐにやめた。結構遠い過去だったからだ。最後に抜いたのはいつだったかってのも考えたがやめた。ゾロまでとは言わないが案外とゴツい自分の手と、自分の意思での吐精だからな。で、そんなことを無駄に考えれば、この状況でおれのちんこが反応示すのも仕方がないんだ。本当は野郎の手なんてもってのほかだけど、今は仕方ないんだ。久しぶりに自分の意思以外なんだ。勘弁してやってくれ。むしろ勘弁してくれ、おれのちんこ。
「おっ勃ててんじゃねェか」
 ゾロって男はひでーくらい世間に無頓着な男で、さっきまで一緒に見てたサッカー中継もほとんど興味がなかった。ルールは愚か、こんなに情報が氾濫してる世の中で誰一人選手を知らないっつーくらいの文明に取り残された憐れな男だ。興味があるのはガキの頃からやってる剣道と、人間の三大欲だけなんだろうな。
 そんなゾロが、やけに悪戯じみた笑みを浮かべておれを見た。嫌な予感ってなァだいたい当たっちまうもんだから、背中に一本冷や汗が伝う。
「いっ、」
 案の定、ゾロはものすげー悪い表情で笑ったまま、おれのちんこをゆっくり上下に擦り始めた。
「てめェ、ゾロ!」
「おぉ」
「おぉじゃねェ!」
「うっるせーな、黙ってろ」
 腰を引いても逆の手で引き寄せられて、クソみてーな馬鹿力に抗うのが難しい。確かにちょっと勃ってるかもしんねェが、気持ちいいっつーより痛い。なんかこう、無理矢理感で潤滑からかけ離れてるような気がしてならない。気持ちいいんだか痛いんだかわかんねェ感触の中で息を飲めば、なんとなく、ゾロはそれを察したらしい。本当に、今日はこいつらしくねェというかなんというか。
「なんか滑るもんねェのか?」
「おまえなァ、やめりゃいいだろ。なんで続けようとすんだよ」
「この際だ、てめェのイク顔が見てェ」
「あァアアアァア??」
 こいつらしくねェとか、そんな問題じゃなかった。予想をはるか天高く超えるその回答におれは暫く言葉を失い、そんなおれを見たゾロはゆっくりひとつ頷いて見せた。そしてぼそりと、舐めりゃいいかなんて恐ろしい言葉を口にする。しかしそれを恐ろしいと思う感情とは裏腹に、まさかのおれのちんこは、ぐんと反応を示していた。





 たまぎわじゃなくて下品なちんこの話になってもうた(´・ω・`)