エロを書きたい(ゾロサン)


 手が服の中に入ってきて、ごつごつしてたりクソ熱かったりすると、あー女の子じゃねェんだなァなんて、一瞬心が萎れたりする。そんで、首筋に当たるさくさくした短髪は、やっぱり女の子のものじゃなくて、一瞬どころか結構長い間心が萎れたりする。
「なんだこりゃ、ベルト取っとけ」
 だけどその声にグッと腹の下辺りが熱くなるのも嘘じゃなくて、心は萎えても密着した体は正直と言うか、……なんだそのお決まりのセリフは。
「ゾロ…っ」
「あ?」 
「あちィ、」
 訴えれば目の前の男は渋い表情を見せて舌打ちをした。服に侵入していた手を抜き、ガシガシと緑の頭を掻く。一瞬の間を置いてサンジの肩の横に大きな音を立てて手をついた。安ホテルの古いスプリングなら壊れてしまっているような勢い。幸いここはそんな場所ではなく、──‥いや、幸いでもない、人がいなくなった深夜とはいえ普段は二人が向き合っている少人数用の教室だ。ゾロが手を置いたのは普段サンジが立っている教卓で、それだけでも二人が大分無茶な体勢でそうしていることがわかる。
「誘ってんだな、てめェ」
 だったら容赦しねェぞと、獣のように唸った。サンジが口を開いて何か言おうとすればすぐさまその唇を塞ぐ。
 ゾロの質問はいつも確認で、答えを求めてはいなかった。答案に書かれる解答にはすべてマルで、バツがつくのは消したあとすら見当たらない無解答欄。そんな曖昧な答えを嫌う男はそれほど優秀ではなく、どこか行きたい大学があるわけでも勉強が好きなわけでもないらしい。じゃあなんで塾なんか来てんだてめェというサンジの質問に返ったのは、おまえがいるからという至極シンプルで野暮ったい答えだった。その答えがこの関係を生んだと思えば、あながち間違いではなかったのかもしれないというサンジの思考も、十分野暮ったいのだけれど。
 乱暴に引き抜かれたベルトは無機質な音を立てて床に落ちる。しんと静まりかえった教室で、その音は空気を揺らした。頭をかすめた冷たい音にぼんやりと瞳を開くが、口内を攻める熱さにまたすぐ瞳を閉じる。飲み込めない唾液が口角を濡らし、相手の吐息の熱まで感じられるこの距離に、サンジはこれまでにないほどの高揚を感じていた。前を寛げられればスーツはだらしなく太股まで下がる。すでに屹立したそれは触れられるのを待っていて、サンジが乞うまでもなくゾロは望み通りのものをくれてやる。随分と粗野な手の動きは、ゾロも自分と同じくらい切迫しているのだと容易に感じることができた。ゾロの背中に回っていたサンジの手もシャツの裾へと伸びる。焦れったく、辿るように服の中に指先を侵入させた。唇や声と同じでその身体も熱く、だんだんと思考能力の低下するサンジの頭の中には"熱い"しか出てこない。唇を離せば漏れる吐息。赤ん坊のような思考能力の中、自身の内から上がる湿った熱とともにサンジはもっと、と、そう言った。
「ゾロ…、もっと…っ」
「クソッ、」
 自ら快楽を求めるサンジに、ぞえろ




おわり







何回もゾロをぞえろと打ってしまう中指の絆創膏が憎いのでおわります。男が女に言われて嬉しい3文字が「もっと」だって聞いたもん。